人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
CAVH用血液濾過器の理論的性能評価
峰島 三千男山形 桂仁江良 和雄佐中 孜阿岸 鉄三太田 和夫服部 博行福井 清
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 16 巻 3 号 p. 1278-1281

詳細
抄録

CAVHの原理は従来のHFと同じ限外濾過であるが, 比較的血流量が低い範囲で操作することや, 長時間使用による膜性能の経時劣化が問題となっている。本研究では入手されたCAVH用濾過器の理論的性能評価を目的とし, ヒト血漿およびウシ血液を用いたinvitro実験を行った。ヒト血漿を用いた定圧濾過実験の結果, 濾過流束JFは平均剪断速度γWおよび供給血漿中総蛋白濃度C(T. P.)に強く影響を受け, γW1/3, 1n[C(T. P.)]に対して直線性がみられた。一方ウシ血液を用いた実験からヘマトクリットHCTの影響を調べたところ, HCTが低いほどJFは高値を示し, γW0.65に対して直線性を示した。濾過膜の透水性能の経時劣化は濾過開始直後に生ずる大きな変化と長時間にわたる緩徐のものの2種に分類できるが, 前者についてはγWに関係なく濾過開始30分までに消滅し, 後者についてはγW/L(Lはモジユール長さ), 膜間圧力差TMPを揃えたところ, 各膜による差異はみられなかった。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top