人工臓器
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コロイダルカーボンおよびハイドロキシアパタイトの軟部組織への接合性に関する某礎的検討
北岡 建樹衣笠 えり子秋沢 忠男越川 昭三中林 宣男
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1987 年 16 巻 3 号 p. 1316-1319

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抄録

生体と人工素材との接合性や親和性を検討するため、ダクロン、コロイダルカーボン(CC)、ハイドロキシアパタイト(HA)をラット背部皮下組織中に植え込む、または一部を体外に露出させて植え込み・肉眼的および組織学的に比較検討した。ダクロンおよびCCの軟部組織に対すを接合性はきわめて秀れているが、炎症反応が一部に認められ生体親和性は劣ると考えられた。
これに対してHAは植え込み実験初期の接合性はダクロンおよびCCに劣るが、長期的には次第に接合性も増してくることが認められた。しかも炎症性反応の出現のない点より生体親和性にも秀れていると評価された。さらに経皮的植え込み実験では素材に対して皮膚のdown growthも認められず、親和性の強いことが示唆された。
以上よりCAPD用腹膜カテーテルへHAを装着することは、トンネル感染や腹膜炎発生の防止に有用であると期待できる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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