抄録
コラーゲンコーティングした人工血管(Double velour Dacron graft)の周囲に, 内腔保持の目的でポリアセタール樹脂をスパイラル状に縫着した入工気管の移植実験を行った。雑種成犬8頭の頸部気管を6~8気管輪切除し, 長さ3.0~5.0cmの人工気管を, Vicryl 4-0, 連続縫合にて移植した。
移植後の生存期間は28日~7ヵ月で, 3頭は各々28日, 1ヵ月, 5ヵ月死亡, 5頭は各々21H1ヵ月, 2ヵ月, 2ヵ月, 7ヵ月吻合部肉芽による狭窄や感染のため屠殺した。合併症は皮膚瘻が2頭に, 縫合不全が4頭に, 肉芽による狭窄が4頭に認められたが, 人工気管の逸脱は認められなかった。人工気管内面の上皮化は1例にのみ, 部分的に認められた。以上の如くこの人工気管は内面の上皮化が得られ難く, 縫合不全や吻合部肉芽による狭窄が高率に発生した。今後人工気管の材質およびporosityについて, 更に改良を要すると思われた。