人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
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補助人工心臓システムの臨床における有効性と安全性の評価
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1987 年 16 巻 5 号 p. 1688-1697

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抄録
国立循環器病センターで開発し, 東洋紡績で製品化した補助人工心臓(VAD)システムを, 施設を異にしたグループで適用基準, 治療体系, 評価基準を定め, 高度心不全患者10例に適用して, システムとしての安全性と有効性の評価を行なった. 1)使用期間は45分~12日10時間(平均5日9時間)で, 4例(40.0%)が高度心不全から回復してVADを離脱し, 3例(30.0%)が長期生存した. 離脱しえなかった症例は, 呼吸不全, 感染, 適用が遅延したことに基づく多臓器不全, 末梢循環不全であった. 2)血液ポンプは耐久性, 抗血栓性ともに優れており, ポンプの破損, 重篤な血栓形成, 栓塞症等を認めなかった. 3)制御駆動装置は補助量自動制御システムを含めて正確に作動し, 安全に循環を管理しえた. 4)システム全体として高度心不全患者を回復せしめえたことなど,総合的に判断すると本VADシステムは臨床的にもきわめて安全かつ有効に使用しうるものであり, 臨床例への広汎な使用が可能と結論する.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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