抄録
健常者リンパ球に慢性透析患者の動脈側血漿(透析前, 透析開始15分, 透析後)を加え幼若化反応を行なった。また, 透析前, 15分, 透析後血漿ならびに健常者血漿中のプロスタグランジンE2 (PGE2)を測定した。透析前血漿は健常者リンパ球のPHA, ConA反応を強く抑制した。同様に, 患者リンパ球にこの患者血漿を加えた場合, 患者リンパ球の抑制は認められなかった。前血漿PGE2が最も低い値を示した。
透析前血漿中に幼若化反応の抑制を誘導する因子の存在ならびにこの抑制因子は透析15分以内に消失することが示唆された。なお, 健常者リンパ球と患者リンパ球では免疫反応への対応が質的に異なると思われる。血漿PGE2値と健常者リンパ球における抑制効果との相関は認められなかった。