コラーゲンを主材料とした三層構造を持つ人工皮膚を作製し, ラット皮膚全欠損層に「移植」して, 組織学的に検討した。
本研究では, 化学架橋を施さない線維化アテロコラーゲンと熱変性アテロコラーゲンの複合物からなるスポンジが, ラット皮下で早期に線維芽細胞を呼び込み, 自身も疑似真皮様組織に変貌することに着目し, その高度な細胞親和性を利用している。
その結果, 単に真皮に類似した組織の形成にとどまらず, 表皮再生がなされ, それと共同作用のもと, 「基底膜」とrete ridge構造をも完成させることが判明した。これは真の意味で, 「人工皮膚」と呼ぶにふさわしいものであると考えられる。