人工臓器
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化学修飾セグメント化ポリウレタンの極表面性状と生体応答性
飯田 和利坂本 永吉松田 武久
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1989 年 18 巻 1 号 p. 159-166

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抄録

血液接触医療器具に適用する目的で、セグメント化ポリウレタンに化学修飾を行い、血液接触表面における化学修飾基の挙動と生体成分との応答性の関係を調べた。化学修飾は、均一系反応及び不均一系反応により疎水性長鎖アルキル基の導入を、均一系反応により親水性ポリオキシエチレン鎖の導入を行った。血液接触表面の物理化学的性状は、X線光電子分析(ESGA)、接触角測定により検討した。また、生体応答性は、多血小板血漿(PRP)、洗浄血小板PBS懸濁液を用いて検討した。
疎水性長鎖アルキル基を導入したポリウレタンについては、均一反応系、不均一反応系の両者において導入基の極表面濃縮がESCAにより観測されたが、接触角測定より、均一反応系においては、水界面における導入基の再構成による親水性の増大が認められた。不均一反応系においては、水界面における疎水性の保持、蛋白質を介した血小板の粘着抑制現象が認められた。親水性ポリオキシエチレン鎖を導入したポリウレタンについては、導入量増大に伴い、親水性の向上、血小板の粘着抑制が認められた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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