抗血栓性材料(HS polymer)にて外面被覆1した静脈内カテーテルを胸部外科手術症例にて臨床的に用い、その有用性を検討した。対象は胸部外科手術症例60例で、無作為にHS polymer被覆カテーテルと従来IVH用カテーテルを各々30症例に静脈内カテーテルとして使用した。
両群間の抗血栓性に関してカテーテル抜去時の肉眼的観察にては差はなかなったが、走査電顕所見による検討にては、HS polymer被覆カテ-テル使用にて、有意に従来使用されていたカテーテルよりもカテーテル外面の血栓形成度が低くかった。また、IVHカテーテル留置に伴う血液性状変化に関しては両群間に差は認められなかった。
以上より、抗血栓性を有するHS polymerを被覆することで、よりIVHカテーテルの抗血栓能を高め得たものと考えられた。