1989 年 18 巻 2 号 p. 698-701
人工弁機能不全の早期診断には人工弁音分析は非常に有用である。我々は2, 4, 6KHzの高周波数フィルタを使用し、シグナルプロセッサ7T17(フーリエ変換)で人工弁音の波形・周波数分析を行った。波形分析は50~500msec間、周波数分析は0~10KHz間に行った。その結果、Björk-Shiley弁Medtronic-Hall弁、SJM弁とDuromedics弁、Starr-Edwards弁(silicone)とSmeloff-Cutter弁はそれぞれ波形・周波数分布とも同様のパターンを示した。本法により、disc弁の5KHz以上の高周波成分を容易に検出できた。50mm間の人工弁音波形を逆フーリエ変換と併用した波形分析は有用で特に複葉弁においては、二枚の弁葉の機能を各々判定でき、多弁置換例の分析を容易にした。しかしながらStarr-Eduwards弁の血栓弁症例では、波形上の変化より周波数分布の変化の方が著明であった。さらにシグナルプロセッサ7T17のプログラムを試作し、日常頻回に検査できるよう、簡便化迅速化をはかった。