人工臓器
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エリスロポエチン投与患者における透析上の問題
坂下 恵一郎筒井 敏彦山本 尚哉伊藤 晃山崎 親雄増子 和郎渡辺 有三
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1989 年 18 巻 3 号 p. 1207-1210

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抄録
r-HuEPOは、血液透析患者の貧血に対して極めて有効であり、ほとんどの患者に対して、Htを30%以上に上昇させることができる。Htの上昇により、透析効率が変化するか否かを検討した。透析液側より求めたクリアランスは、Cr, UA及びipで有意に低下し、尿素では低下傾向を示した。Ht上昇前後で測定した透析1回当りの溶質除去量は、ipのみ有意な減少を示し、UN, Cr及びUAは有意差がなかった(Ht上昇, 平均7.9%)。除去率の比較では、平均11.3%のHtの差があるが、UN, Cr, UA及びiPの全てに有意差はなかった。透析前値は、UN, Na, K及びCaは全期間通じて有意な変化はないが、Cr, UA及びipで有意に上昇した時期を認めた。r-HuEPO投与により、血小板数は有意に増加した。凝固能検査は、有意な変動を認めなかった。残血・凝固は39例中5例(12.8%)に認めたが、ヘパリンの増量等で防止できた。血小板凝集能や血小板放出蛋白は、投与群と非投与群との間に差はなかった。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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