1990 年 19 巻 1 号 p. 70-73
1989年5月までに当科で施行した経皮的IABP症例中重篤な合併症を併発した4例について成因および治療を検討し問題点を考察した。
症例は1) 急性大動脈解離(De Bakey IIIb)を併発し, 解離腔内でのIABP作動であった例1例。2) IABP抜去部に生じた仮性動脈瘤1例。3) IABP抜去後に生じた急性左総腸骨動脈完全閉塞1例。4) IABPによる下肢動脈血栓除去術施行後のmyonephropathic metabolic syndrome (MNMS) 1例の計4例である。
経皮的IABPは簡便であるが, 本症例のような重篤な合併症を併発する可能性があり, それを常に念頭におき, 合併症発症後は迅速で適切な処置が必要である。