1990 年 19 巻 2 号 p. 933-936
癌患者血清中の免疫抑制因子の効率的除去を目的として, 血漿処理量を従来の2倍とする二重炉過血漿交換法Large-volume DFPP (LV-DFPP)を進行癌患者6例に対して化学療法併用下に施行した。LV-DFPP施行前後での患者血清のNK抑制活性はLV-DFPP前41.2±20.6%から, 後7.4±14.1%へと有意な(P<0.01)抑制率の低下を認め, またPHA抑制活性もLV-DFPP前36.8±12.4%より後149±10.6%へと有意な(P<0.05)抑制率の低下を認めた。臨床的にはPerformance stetusの改善を従来以上に認め, 強力な化学療法併用2例ではCT上で共に腫瘍縮小を認めた。LV-DFPP 1クール施行後はNK抑制活性, PHA抑制活性は2週間前後より上昇する傾向がみられたが, LV-DFPPは癌患者血清中の免疫抑制因子の除去効果において従来より明らかに優れており, 癌の集学的治療の一つとしてより有用な手段となりうると示唆された。