人工臓器
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繁用人工臓器の現況と将来
―人工肺の適応と限界―
寺本 滋
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1990 年 19 巻 3 号 p. 1021-1024

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抄録
人工肺は人工心(ポンプ)と組合されて開心術を目的として飛躍的に発展してきたものである。現在用いられている人工肺としては気泡型人工肺と膜型人工肺が挙げられ、前者は酸素加効率がよく、取扱い操作が容易である点が特徴とされ、後者は生体肺に似た機構を有し血液の損傷の少ないことが特徴である。
臨床的使用に際しては特に差を認めない程度の性能を有しているが近年、膜型肺の使用施設数が気泡型を凌駕するようになってきたがこれは種々の点でその特徴が認められたためと考えられる。この特性を利用して急性呼吸不全に対しての応用が注目されECMOとしてとくに幼小児を対象として成果がみられるようになってきた。教室においては膜型肺の試作および実用化に取組んできたが、より性能のよい透過膜の開発が期待されるものであり現在の多孔質膜と均質膜の特徴を併せた複合膜もその1つでありEngineer sideの努力に期待したい。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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