人工臓器
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温水処理したコラーゲンマトリックスの特性
小出 幹夫小西 淳池上 和仁
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1990 年 19 巻 3 号 p. 1131-1134

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抄録

温水処理コラーゲンマトリックスは架橋したコラーゲンマトリックスを50~121℃の各温度で熱水に浸漬して作製した。このコラーゲンマトリックスの特性及びラット背部皮下及びマウズ腹腔内に埋入して経時的に組織学的検索を行った。コラーゲンマトリックスを温水処理すると処理温度の上昇と共にコラーゲンマトリックスは収縮し、更にα-ヘリックス含量が顕著に低下し、熱変性が生じていることが認められた。ラット皮下埋入した結果、未処理のコラーゲンマトリックスでは細胞の侵入性は極めて乏しくかつ検体の周囲に被包が形成されていたのに対し、温水処理した検体の場合には顕著な細胞侵入が見られ、被包形成も認められなかった。一方、マウス腹腔内に埋入した結果、未処理のコラーゲンマトリックスでは4週間後も検体は残存し、被包が認められたが、温水処理条件により検体の残存性と組織親和性が異なるが、121℃30分温水処理したコラーゲンマトリックスは組織親和性が良好だった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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