人工臓器
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エポキシ処理ヘパリン化(ウシ動脈)代用血管の開発および臨床応用へ向けての評価
冨澤 康子野一 色泰晴大越 隆文小柳 仁
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1992 年 21 巻 1 号 p. 100-103

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抄録

冠動脈バイパス術用グラフトの開発を目的としてウシ動脈を親水性化合物であるエポキシ化合物で架橋処理し、内面をヘパリン化し抗血栓性を持たせた小口径代用血管(Heparinized Bovine Graft, HBG)を作成した。またその物理・生理学的性質を評価し、植え込み実験において市販の代用血管と比較検討した。作成したHBGは白色で、柔軟性に富み、市販のBioflow (BF)よりも高いPercent Tanningであり、Kink ResistanceおよびSuture Retention Strengthにおいてもより優れていた。植え込み実験をHBG, BFおよびGore-Tex (GT)を用いて行ったがHBGは扱いやすく、針穴からの出血も少なく、抗血栓性に優れていた。3ヶ月後に試料を採取し評価したがHBGは内面平滑で白色を呈していた。エポキシ処理ヘパリン化代用血管は小口径用に使用されてきたGTや最近開発されたBFより優れており、その臨床応用が期待される。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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