人工臓器
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交互配列静磁場の動脈内皮再生促進能
宮脇 富士夫須磨 幸蔵松本 博志
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1992 年 21 巻 5 号 p. 1377-1383

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抄録

交互に配列した静磁場を有するプラスチックフィルム(磁束密度280ガウス)の内皮細胞再生促進能を検討した. 16頭の雑種成犬の両側頸動脈(N=32)の内皮に長さ約5cmにわたる機械的な損傷を与え, 内皮を剥離させた後に, 一側の頸動脈のみに交互配列静磁場フィルムを巻き(実験群), 他側はそのままとした(対照群).術後1, 2, 4, 5, 6, 8週後に両側頸動脈を摘出し, 内皮細胞の再生状況を比較検討した. 術後2週で実験群のほうが対照群よりも内皮細胞の再生が速かった. 機序の詳細は不明であるが, 血液中の陰性荷電粒子が交互に配列した微小静磁場を通過する際に, 磁場の変化を生じ, 局所の起電力の変化を生じさせることになる. これが内皮細胞の増殖を促進させるのではないかと考えている.

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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