人工臓器
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透析液Ca濃度とCa出納の検討
斉藤 晃堀和 芳長見 英治山崎 英隆市川 久志川崎 忠行徳竹 修一犬丸 達也新井 貴士百瀬 卓志武田 福治守尾 一昭松崎 健三佐野 元昭小出 桂三
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1993 年 22 巻 1 号 p. 14-17

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抄録

維持透析患者14名にCa濃度3.5mEq/L(以下3.5液)、3.0mEq/L(以下3.0液)、2.5mEq/L(以下2.5液)の透析液を使用し、血清Ca(以下T-Ca)、血清イオン化Ca(以下Ca++)、Ca出納量を測定した。3.5液、3.0液使用時のT-Ca、Ca++は開始時に比べ終了時で有意に上昇したが、2.5液使用時のT-Caでは不変であり、Ca++は有意な下降を示した。Ca出納量はすべての透析液使用時において透析排液中にCaが排出された結果であった。これは、活性型VD3及び炭酸Caの併用により高Ca血症を起こす可能性のある患者に対し2.5液の使用が望ましいことが示唆された。また、開始時のCa++とCa出納量はそれぞれ有意な相関を認め、透析液Ca濃度実測値(以下CDi)と開始時のT-CaまたはCa++の濃度差は、全例のCa出納量と有意な相関を認めた。このことは、開始時のCDi、T-Ca、またはCa++値によりCa出納量が予測できる可能性が示唆された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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