人工臓器
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赤血球の拡散と細孔閉塞を考慮した新しい血漿分離モデル
清水 将夫酒井 清孝
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1993 年 22 巻 1 号 p. 212-216

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抄録

血漿分離では時間とともに濾過流束が減少し、定常状態における濾過流束は、同一条件における純水や血漿を用いた時の濾過流束の数十分の一になる。これは、赤血球分極層、堆積層および赤血球による細孔閉塞が濾過流束に対して大きな抵抗になるためである。しかし、多くの血漿分離モデルは赤血球分極層だけに着目している。また、赤血球の血漿中における拡散についての検討も不十分である。
本研究では、赤血球分極モデルに赤血球の拡散係数の赤血球体積分率依存性、および細孔閉塞による膜抵抗の増加を考慮した新しい血漿分離モデルを考案した。そして洗浄赤血球懸濁液を用いた定圧濾過実験を行うことにより、モデルの妥当性を検討した。
その結果、赤血球分極モデルに赤血球の拡散係数の赤血球体積分率依存性および細孔閉塞による膜抵抗を考慮に入れることによって、実験結果を本モデルで説明できることが明らかとなった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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