再生セルロース膜表面にPEG鎖をグラフトしたPC膜の抗凝固性について, 従来の再生セルロース膜(従来膜)と比較検討した。ヘパリン投与量は, PC膜で従来膜に比し29±10%減量することができた。最少ヘパリン量にての透析中のFPA, TAT, β-TGおよびPF-4の変化は, 両膜共FPA, TATおよびβ-TGで透析後の有意な上昇を認めたが, 両膜間で上昇率の差異はなかった。動静脈間の比較で, 従来膜では5分でβ-TG, 240分でFPA, TATおよびPF-4に, PC膜では240分でFPA, β-TGおよびPF-4に有意の上昇を認めたが, いずれも両膜間で差異はなかった。通常ヘパリン投与量でのプロスタグランジン系の変化は, 両膜共6-FPGK1αの透析後の有意な上昇を認めたが,11dTXB2は従来膜のみ有意な上昇を認めた。今回の検討で, PC膜は従来膜に比し, ヘパリン減量が可能で, 血小板系への刺激が少ないことが示唆された。