1993 年 22 巻 3 号 p. 643-649
成犬を用いて遠心ポンプ, 軸流ポンプによる左室心尖部脱血, 胸部大動脈送血による左心バイパスモデルを作成し, 心拍動がポンプ流量特性に及ぼす影響を検討した。結果: 1. どちらのポンプにおいても充分なポンプ流量, 左室補助効果(左室仕事量30%以下)を得た。2. totalflow assist時にも左室脈圧はcontrolの90%に保たれ, ポンプ入口部,ポンプ流出部においても脈圧は良く保たれた。3. 収縮期にはLV-AO圧較差が減少するためポンプ流量は増加し, 拡張期にはLV-AO圧較差が増加するためポンプ流量は減少する。すなわち心拍動下では定常回転時においてもポンプの流れは拍動流となった。4. ポンプの流量特性はポンプの締め切り揚程と拡張期LV-AO圧較差の関係により決定される。5. 軸流ポンプは遠心ポンプに比べ圧変化に対する流量変化が少なく, 揚程変動の激しい左室脱血による左心バイパスの流量制御に有利であると考えられる。