1993 年 22 巻 3 号 p. 704-707
雑種成犬10頭を用い, プロプラノロールによる薬剤性心不全下に, 内胸動静脈にて血行再建した遊離広背筋グラフト(I群: 5頭)によるDynamic cardiomyoplasty (DCMP)の有用性を, 有茎広背筋グラフト(II群: 5頭)と比較し, その循環動態の差異を検討した。広背筋刺激により, 両群とも収縮期動脈圧および心拍出量は有意に上昇したが, 両群間に有意差は認められなかった。また広背筋刺激前後における%変化率において, 両群間に統計学的有意差は認められなかったが, 収縮期動脈圧および心拍出量の増加率は, I群がII群に比し高い傾向にあった。遊離広背筋グラフトによるDCMPは,支配神経の切断による骨格筋萎縮や再建した血管の開存性の問題を残しているが, 十分な心補助効果が得られる可能性が示唆された。