1993 年 22 巻 3 号 p. 739-742
in situ両側広背筋を駆動源とする血液ポンプシステムを試作し、拡張期に必要な力を中心に検討した。ダイアフラム型ポンプの背面にベローズを取付け、両側広背筋の収縮力がケーブルにより伝達され、ベローズの圧縮となりダイアフラムを圧排し血液を駆出する仕組みとした。また、拡張期の血液充満と筋の伸展を補助するための力(DF)を、おもりを用いて付加した。成山羊を川いた急性実験(n=3)を行ない、ポンプはmock回路に接続し、mock回路の前負荷とDFを変えてポンプ流量を測定した。その結果、
ポンプの最大output powerは0.365Watts(前負荷10mmHg、後負荷80mmHg、DF3kgfにて流量2.35L/min)であり、前負荷が10、20、30mmHgのいずれでも、良好な拍出を得るには2kgf以上のDFが必要であった。また、ケーブルとベローズ装着ポンプを応用した本システムは、骨格筋の直線的収縮力を血液の拍出に変換するシステムとして有望であると考えられた。