抄録
新しい低充填量の外部灌流型膜型人工肺CAPIOX-SXを冠状動脈バイパス手術症例に臨床応用し, 従来のCAPIOX-Eと比較検討した. CAPIOX-SXは, ファイバーの充填率を上げることにより単位膜面積あたりのガス交換能を高くし, 膜面積を小さくすることによって, 人工肺充填量は270mlとなった. これにより, 総初期充填量を1000mlまで減少することができた. 臨床使用上, CAPIOX-Eに比し, FiO2を若干高めに維持したが, PaO2は遜色ない値を示し, また, ガス流と血流が対向となっていないため, ガス流量/血流量(V/O)比がやや高めであったが, 炭酸ガス排泄能は, 臨床的に十分な余裕を示し, 変動も少なく, 容易な操作性が得られた. このような低充填量の人工肺の使用により, より無理なく無輸血体外循環が可能になると考えられた.