人工臓器
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大腿-膝窩動脈バイパスにおける補強リング付きEPTFEグラフトの開存性―自家静脈グラフトとの比較
小出司 郎策稲村 俊一金渕 一雄小田 桐重遠正津 晃
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1994 年 23 巻 3 号 p. 786-790

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抄録

教室では浅大腿動脈ASOに径6mm補強リング付き人工血管(EPTPE)と反転した自家大伏在静脈(ASVG)を用いて, 大腿-膝窩(膝下)動脈バイパスを行って来た。このうち, 術後3カ月以上の開存を得た, 62例, 77肢(EPTFE 31本, ASVG 46本)を対象にグラフト開存性を比較検討した。
EPTFEの累積開存率は術後3年(23本)83%, 5年(14本)71%, 7年(8本)64%と, 年を追う毎に低下したが, ASVGは術後3年(32本)93%, 5年(20本)87%, 7年(3本)87%と良好であった。
遠隔期閉塞の再手術では, ASVGを用いた再バイパスは5例中5例で成功し, 平均61カ月開存中に対し, EPTFE使用の2例では,1~2カ月で閉塞した。
大腿-膝窩(膝下)動脈バイパス・グラフトとして, EPTFEは有用であるが, 長期開存性と再バイパス時のグラフトとして, ASVGに劣る結果であった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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