人工臓器
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ハイブリッド血管壁組織の構築:力学的ストレスによって誘導される血管平滑筋細胞の配向と表現型
神田 圭一岡 隆宏松田 武久
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1994 年 23 巻 3 号 p. 799-802

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抄録

仔牛大動脈由来の平滑筋細胞(SMC)をI型コラーゲンゲル中に埋植して作製したハイブリッド中膜組織に3種の力学的ストレスを最大4週間負荷し、形態学的に評価した((1)培養液中に浮遊させ自己収縮させた対照群;(2)等長に保った静的ストレス負荷群;(3)周期的伸縮性ストレス(周期60RPM、振幅10%)を負荷した動的ストレス負荷群)。対照群中のSMCは多角形で不規則に配列し、微細構造上典型的な合成型SMCであった。細胞外コラーゲン線維束の走行は無秩序であった。静的・動的ストレス負荷群では紡錘状に伸張したSMCとコラーゲン線維束が高密度に集積した柔軟性なハイブリッド組織体を形成し、いずれの成分もストレスに対し平行に配向していた。静的ストレス負荷群中のSMCは対照群同様、合成型SMCであった。動的ストレス負荷群中のSMC内では収縮規管が増生し、細胞外縁には基底膜様の物質を認めた。三次元培養と周期的伸縮性ストレス負荷という生理的環境を模倣した条件下ではSMCが合成型から収縮型へ形質変換しうることが示唆された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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