人工臓器
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MRIにおける人工材料の安全性に関する基礎的研究
MR撮像中のモニター導線ループによる発熱機序の研究
中村 達雄福田 耕治早川 克巳藤原 一央奥村 典仁有安 哲哉滝本 行延清谷 哲也寺町 政美清水 慶彦
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1994 年 23 巻 6 号 p. 1191-1196

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抄録

MR撮像中の熱傷の発生が報告されているが, その発生機序は, モニター類の導線によってできるループにRFパルスが加わり電磁誘導が発生することによると考えられてきた. しかしその一方で熱傷を起こした導線がループを形成していなかった症例報告もある. 本研究では臨床用0. 5T MRI装置を使いモニター用導線で作ったループにMR撮像中どれだけの電圧が生ずるか実際に測定した. 心電図用同軸内シールド線よりなる1巻(S=0.124m2)と10巻(S=1.24m2)のループではそれぞれRFパルス印加時には75V, 45Vの最大電圧が観測され, 50Ω抵抗を入れると, 抵抗の両端はそれぞれ60V, 30Vの最大電圧であった. また回路を切断後も, 導線端にRFパルス印加時に電圧が観測された. これら観測結果はループの電磁誘導だけでは説明できず, 従来考えられていた以外の発生機序の存在を示唆するものと考えられる.

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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