1995 年 24 巻 2 号 p. 298-303
Doppler guide wireを用い、PCPSの冠血流に及ぼす影響につき、Pump on and offにて2症例で検討した。症例1は下壁急性心筋梗塞に合併したDC抵抗性VFの症例。心室調律下、PCPS 3.0L/minの循環補助により平均大動脈圧は70→105mmHgと増加し、#6での平均流速も14cm/sec→20cm/secと増加を認めた。Pump off時、冠血流速波形は特異な形態を示し、収縮期順行性血流の減少と収縮期逆流、拡張期順行性血流の急峻な下降が見られたが、循環補助により、これらの改善傾向を認めた。症例2は多枝病変急性心筋梗塞による電導収縮解離の症例で、#1の完全閉塞、#590%、#675%の狭窄あり。心停止下、流量2.2L/min、平均大動脈圧50mmHgの状態で、#5での平均流速は約50cm/secの定常流を示し、Pump offにすると大動脈圧、血流速度はほぼ0まで下降した。心停止時および蘇生直後においてPCPSは冠血流の補助効果を有しており、心肺蘇生法として有用な手段と考えられた。