人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
波動ポンプ(UP-6)の血液適合性に関する基礎的研究
抗血栓性、溶血、ポンプ内の流れに関して
阿部 裕輔鎮西 恒雄磯山 隆満渕 邦彦今西 薫河野 明正渥美 和彦藤正 巖井街 宏
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 24 巻 2 号 p. 319-322

詳細
抄録

波動ポンプ(Undulation Pump)は、完全埋込型人工心臓への応用を目的として開発している小型容積型連続流血液ポンプである. 今回、慢性動物実験を前提として、新しい波動ポンプ(旧名PDP)を開発した. ヤギに左心房脱血―下行大動脈送血の左心バイパスを作成し、実際に動物に使用してみたところ、著しい溶血が起こることがわかった. また、12時間駆動したポンプ内にはかなりの血栓が付着しており、抗血栓性に関しても問題があることがわかった. 次に、透明な波動ポンプを作成し、ポンプ内流れの可視化実験を行ったところ、ポンプ内の流れは複雑な乱流であることがわかった. しかし、この複雑な乱流が溶血や血栓形成に与える影響に関しては、明確な解答を見いだせなかった. 今後の課題としては、溶血の低下と抗血栓性の向上が重要であると考えられた.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top