1995 年 24 巻 2 号 p. 319-322
波動ポンプ(Undulation Pump)は、完全埋込型人工心臓への応用を目的として開発している小型容積型連続流血液ポンプである. 今回、慢性動物実験を前提として、新しい波動ポンプ(旧名PDP)を開発した. ヤギに左心房脱血―下行大動脈送血の左心バイパスを作成し、実際に動物に使用してみたところ、著しい溶血が起こることがわかった. また、12時間駆動したポンプ内にはかなりの血栓が付着しており、抗血栓性に関しても問題があることがわかった. 次に、透明な波動ポンプを作成し、ポンプ内流れの可視化実験を行ったところ、ポンプ内の流れは複雑な乱流であることがわかった. しかし、この複雑な乱流が溶血や血栓形成に与える影響に関しては、明確な解答を見いだせなかった. 今後の課題としては、溶血の低下と抗血栓性の向上が重要であると考えられた.