我々は広背筋に代わって循環補助に用いうる骨格筋として腹直筋に注目してきた。この際の重要な問題点は単一神経支配を持たない腹直筋の刺激方法である。そこで腹直筋の神経刺激と筋肉刺激を比較するためにconditioningされていない雑種成犬7頭(平均13.2Kg)の左側腹直筋を用いて骨格筋ポンプを作製し、圧発生能と駆出能を比較検討した。その結果、腹直筋においては三分節神経同時刺激が10v以下の低電圧域で圧発生能、駆出能ともに筋肉刺激より優れていた。また雑種成犬3頭(平均13Kg)で8週間の筋肉刺激による低頻度電気刺激(2Hz)を行いMyosin ATPase染色(pH4.3)でType I線維へのほぼ完全な転換を認めた。このconditioningされた腹直筋で作製した骨格筋ポンプの圧発生能は約70%まで減少していた。