1995 年 24 巻 2 号 p. 405-408
1994年3月までに15例のSJM弁の機能不全症例を経験し、主に単純シネ撮影法及びドプラ心エコー図により診断した。単純シネ撮影法では、SJM弁の狭窄性機能不全症例10例においては、機能正常例に比較しディスク運動の著明な制限ないし消失を認めた。ドプラ心エコー図では、狭窄性及び逆流性機能不全症例ともに機能正常例に比し、著しいPeak velocity及びPeak pressure gradientの増大を認めたが、各測定値において正常例とoverlapする値を示すものもあり、診断には詳細な検討が必要と思われた。ディスク運動の制限を認めた10例中5例にウロキナーゼを用いて血栓溶解療法を試み、3日以内に単純シネ撮影法及びドプラ心エコー図でディスク運動、弁機能ともに著明な改善を認めた1例では、血栓溶解療法で正常機能への回復が得られた。単純シネ撮影法及びドプラ心エコー図は弁機能不全の診断ばかりでなく、治療法の選択や治療効果の判定にも有用であった。