人工臓器
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ステロイド溶出式ペースメーカー電極の溶出ステロイドの分析と新しいガラス状カーボン電極のステロイド溶出能の修飾
勝本 慶一郎新堀 立
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1995 年 24 巻 2 号 p. 473-478

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抄録

恒久的ペースメーカーリードは, 刺激閾値の上昇を抑制する目的でステロイド溶出式になっているものがある. その溶出能を測定するには従来, 経時的サンプリングを行い, 累積曲線を求める方法をとっている. そのため溶液は多く用い, 電極本数も多く必要とする. そこでわれわれは, 単一のリードを用い溶出ステロイドを分析する方法を研究した. 試験管に蒸留水1mlをとり, 電極部分を浸水させ, 60分経過したところで, リードを引き出し, 液は分析用に供し, 次に1mlの別の蒸留水の入った試験管にリードを移した. 此の操作を時間帯を設定して, 繰り返した. ステロイドの分析は燐酸デキサメタゾンナトリウム(DSP)をターゲットとし高速液体クトマトグラフ法(HPLC)にて行った.その結果, 1.0mlの蒸留水に溶出したDSP濃度は, CAPSURE電極が初めの60分で最も高く, 次の20時間経過後ならびにその次の2日過後には, SELUTE電極とENCORDEC電極が多く溶出した. DS58V電極は当院臨床研究部で開発したガラス状カーボン電極で, 電極表面に穿孔してステロイドを含んだシリコンゲルを封入してある. このため, シリコンゲルに種々のカーボンパウダーを混合させることによって, 溶出能を修飾する実験的研究ができた. 刺激閾値の変動は3-4日頃から始まり, 7-10日目頃ピークになることを考えると最初に大量溶出せず, 4-14日頃まで溶出が継続する方が有利と思われた.

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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