抄録
血管内皮細胞をseedingして作成するいわゆるハイブリッド型人工血管は小口径人工血管として有望であるが、最も大きな問題はドナーソースである。今回我々は、ヒト補体制御因子遺伝子と治療用遺伝子をひとつのレトロウイルスベクターに挿入することによりヒト補体反応を受けずに治療用物質を産生する治療用遺伝子導入異種血管内皮細胞の作成に関して検討を行った。その結果、ヒト補体制御因子遺伝子導入により、ヒト補体反応は抑制されること、またこの遺伝子導入細胞より治療用物質が産生されることが確認された。以上より、治療用遺伝子導入異種血管内皮細胞は、新しいハイブリッド人工血管作成に有用であると考えられた。