人為的な血圧制御は術中, 術後の管理において, 種々の利点がある. 我々は状態予測制御法を用いた自動血圧制御システムを開発したが, 臨床応用に用いるために, 今回個体の薬剤に対する応答を同定して, 制御装置のパラメータを個体差に合わせて調整する機能, 及びファジィ推論を用い, 血圧, 脈拍, 尿量, 出血量の4個の測定量より危険状態を回避する機能を追加した. 雑種成犬をGOF麻酔調節呼吸下にてtrimethaphan camsilateを用いて血圧制御したところ, 以下の結果が得られた. 1) 初期のオーバーシュートが小さくなる, 2) 目標設定値到達時間(整定時間)が短くなる, 3) 薬剤投与量が時間と共に増加する傾向が軽減する, 4) 種々の状態を人為的に設定したとき, 状態を正確に判断し, 完全に危険な状態となる前に回避し, 制御した. これらの結果より, システムとしての完成度が高まり, 臨床応用が可能であると考えられる.