人工臓器
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ポリスルホン透析膜の非対称構造の違いによる阻止率の差異
竹脇 幸治小久保 謙一酒井 清孝
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1996 年 25 巻 2 号 p. 380-384

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抄録

透析患者の合併症の軽減めため、非対称構造を有する高透水性膜が開発されている。このような高透水性膜では、濾過による溶質透過が起こりやすく、膜の濾過特性の評価が必要である。そこで、非対称構造を有するポリスルホン膜(PS-UW, PS-NW, APS)について、試験溶質として分子量の異なるDextranを用い、阻止率を血漿接触前後で測定し、非対称構造と阻止率の関係について検討した。高分子量の溶質では、濾過流束が大きくなるにつれ、阻止率が減少したのに対し、低分子量の溶質では増加した。この傾向は膜の外表面に緻密層を有する非対称膜、あるいは内部よりも開孔率の小さい支持層を有する非対称膜に特有のものである。また、阻止率は純水濾過係数が大きい膜ほど小さかった。血漿接触による阻止率の増加は分子量の小さい溶質ほど、低濾過流束で顕著であった。以上より、非対称構造や溶質の分子量の違いによって阻止率の濾過流束依存性が異なると結論づけられる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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