人工臓器
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PGA-コラーゲン複合チューブによる末梢神経の再生の誘導
清谷 哲也寺町 政美滝本 行延中村 達雄清水 慶彦遠藤 克昭
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1996 年 25 巻 2 号 p. 476-480

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抄録

われわれはこれまでにゼラチンチューブにより10mmの間隙で、坐骨神経が組織学的にも機能的にも再生したことを報告した。今回、臨床応用に向けてさらに長い間隙での末梢神経再生を可能にするために、新たにコラーゲン及びポリグリコール酸によるチューブを作成し、25mmの間隙における神経再生について評価した。8匹のネコの左側坐骨神経を切除し、間隙が25mmになるように、両神経断端をポリグリコール酸コラーゲン複合チューブに挿入し縫合固定した。術後約3ケ月以降には再生坐骨神経が全例で認められ、光顕及び電顕にてシュワン細胞、有髄軸索、及び無髄軸索を含む神経構造が確認された。体性感覚誘発電位及び誘発筋電図により感覚線維及び運動線維の機能回復が確認された。HRP染色により、再生坐骨神経と脊髄及び延髄間の軸索流が回復していることが示された。以上の結果よりわれわれの作成したポリグリコール酸コラーゲン複合チューブは末梢神経再生に有用であると考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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