人工臓器
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スクロール型血液ポンプの流体力学的基本性能の検討
壁井 信之田代 良一土屋 喜一
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1997 年 26 巻 2 号 p. 315-320

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抄録

揺動運動式ポンプの代表例の一つであるスクロール型血液ポンプを試作した。このポンプは二つのスクロール円盤, 揺動機構とそれに接続されるモータおよび円筒状のシール膜から成り立っている. シール膜はペレセンかラテックスゴムで製作した. 上下二つの円盤にそれぞれ取り付けられた同一の渦巻き形状のスクロールを180度ずらせて互いに組み合わせ, 一方を固定し, 他方を揺動運動させることでポンプ作用が発現する, ポンプ本体の外径は60mm, 高さは約20mmとなった. 揺動運動の半径となる偏心量は3.0~4.5mmの範囲で変化させ, スクロールと円盤問の間隙距離は0.1~1.2mmの範囲で可変とした、シール膜がペレセンの場合では偏心量が4.0mmの設定で, 間隙が0.1mm, 900rpmで500mmHg, 8.44L/minの出力が得られた. 間隙が0.5mmの場合, 回転数680rpmで負荷圧120mmHg, 吐き出し量6L/minの値を得ることができた. エネルギー変換効率は生理的食塩水にて最大で約24%であった.

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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