人工臓器
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心臓血管外科手術後の持続的血液濾過法施行例の検討
中村 都英鬼塚 敏男桑原 正知荒木 賢二
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1997 年 26 巻 2 号 p. 338-340

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抄録

心臓血管外科手術後に発生した急性腎不全に対する持続的血液濾過法(continuous vehovenous hemofiltration; CVVH)につき検討を加えた。対象は1992年から1996年4月の間に施行された心臓血管外科手術742例中、術後の急性腎不全に対しCVVHを施行した14症例である。発生頻度は1.9%であったが、人工心肺使用例では2.6%であった。11例79%が緊急手術であり、7例が術前ショック状態を呈し、術前の血清クレアチニン値は平均2.1±1.4mg/dlであった。7例50%がCVVHより離脱し、4例29%が長期生存し得た。CVVHは循環動態に影響が少なく、低心拍出量症候群(Low output syndrome; LOS)例でも安全に施行し得た。CVVH施行前と3日後の血清クレアチニン値(Cre)、BUNを比較するとCre; 5.0±2.0mg/dl→4.5±2.1mg/dl、BUN; 65.6±33.0mg/dl→67.6±30.0mg/dLと代謝産物の上昇は抑えられ、水分管理は容易であった。動脈瘤破裂例やLOS例はCVVHが長期化しSepsisとなり、救命が難しかった。成績の向上には感染対策が重要であると思われた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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