1997 年 26 巻 2 号 p. 485-491
親水性と疎水性から成るラメラ状のミクロドメイン幅がそれぞれ80A(N-5、平均分子量:5500)及び160Å(N-4、平均分子量:10600)のPHEMA-PSt-PHEMA ABA型ブロック共重合体(HSB)を調製した。これらの材料表面における粘着血小板の超微形態変化抑制能の程度の違いについて画像処理解析装置(IA)を用いて定量的に評価した。粘着血小板の周囲長、面積、凹凸の度合い、1μm2当たりの血小板貯蔵顆粒数は両者間に有意差は認められなかった。一方、粘着血小板の幅、最大長、丸さの度合い、針状の度合いに有意差が認められた(p<0,05)。これらの結果から、N-5表面はN-4表面に比べて正常血小板の形態である平円盤形をより球状形に移行させることが明らかになった。N-4表面はN-5表面より血小板の活性化を抑制することから、HSBの血小板活性化抑制に最適なラメラ状のミクロドメイン幅は160Å付近にあることが示された。[略語:PHEMA、ポリ(2ーヒドロキシエチルメタクリレート);PSt、ポリスチレン]