人工臓器
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生体内吸収性合成高分子を用いたシスプラチン・マイクロスフェア胸腔内投与後の血液中、胸水中シスプラチン濃度の検討
池 修玄 丞恷筏 義人清水 慶彦和田 洋巳人見 滋樹
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1997 年 26 巻 2 号 p. 529-533

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抄録

Poly glycolic acid-L-lactic acidを用いて生体内吸収性シスプラチン徐放性マイクロスフェア(CDDPMS)を作製した。CDDP-MSはin vitroでは約3週間かかって全てのCDDPを一定の放出率で徐放した。CDDP-MSによる癌性胸膜炎の治療を行い、血液中、胸水中のCDDPを定量した。CDDP-MS投与後、2週目までの血液中に、また、ドレーン抜去時の最長8日目までの胸水中にCDDPが定量された。CDDP-MS投与後の血液中のCDDP濃度はCDDP溶液投与例に比べて低値であり、全身的な副作用の軽減に寄与したと考えられた。CDDP-MS投与後に胸水中に排出されたCDDPの総量は全投与量の1%以下であり、胸水の細胞診の陰性化例もあった。CDDP-MS投与にはhydrationを必要とせず、ドレーン抜去までの期間は, CDDP溶液投与に比べて短期間であった。癌性胸水の制御にはCDDP-MSはCDDP溶液よりも有効であり、患者のQOLの改善に寄与した。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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