人工臓器
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SIRSモデル動物の育成のための徐放性エチオニンおよび徐放性リポポリサッカライド
嘉悦 勲内田 熊男塩見 隆史宮本 正章保木 昌徳大柳 治正須谷 康一
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1997 年 26 巻 2 号 p. 534-538

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抄録

エチオニンおよびリポポリサッカライドをアクリレートモノマーと混合し、光重合によってタブレット状に成形したもの、同じ薬物をポリ乳酸と混合し溶融成形したものをDDS (Drug Delivery System)試料とし、それぞれ膵炎および敗血症のモデル動物育成を目的としてラット腹腔内に埋入した。1ヶ月後、徐放性エチオニン試料を投与したラットでは、炎症組織所見やα-アミラーゼの血中濃度の増加が認められ、膵炎の初期段階の症状が認められた。また、徐放性リポポリサッカライドのDDS試料を投与したラットでは、投与後まもなく体温の上昇が認められ、TNF(Tumor Necrosis Factor)の血中濃度が上昇して1時間後にピークに達したのち低下し、約24時間後に再び上昇して再度ピーク値を示すことがわかった。これは、再度にわたるサイトカインの増加によって重要臓器が障害を受けるとするSIRS (Systemic Inflammatory Response Syndrome)の二段階攻撃機構説を支持する結果と考えられる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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