人工臓器
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頚動脈ドプラエコーを用いた体外循環中の脳血流モニタリングの検討
武輪 能明谷口 繁樹水口 一三辻 毅嗣多林 伸起
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1999 年 28 巻 2 号 p. 383-387

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抄録

頚動脈ドプラエコー法による体外循環中の脳血流モニタリングの有用性について検討した.中等度低体温下開心術18例に対し, 体外循環前, 中, 後において総頚動脈血流速度 (CAFV) を測定し, 全身総潅流量係数 (TSFI) との相関を調べ, 通常の体外循環中にCAFVの定量が可能であるか検討した.次に, 超低体温脳分離体外循環症例3例において, 術中に脳送血方法を変更した各手順でのCAFVの変化を調べ, 実用性を評価した. 定常流体外循環中のCAFVは16.0±8.8cm/s (Mean±SD) で, 体外循環前, 中, 後を通じてTSFIと有意な相関 (r=0.464, n=197, p<0.001) を認めた.脳分離症例では, 各手順でのCAFVの変化が明瞭に捉えられ, 選択的脳潅流中に生じやすい高流量送血の防止や左右の血流不均衡の是正が即座に可能であった.頚動脈ドプラエコー法は体外循環中のCAFVが非侵襲的かつ即時に測定でき, 体外循環中の脳血流モニタリングの一手段として有用であると考えられた.

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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