人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
人工臓器内面の硬さと溶血についての検討
下笠 賢二安田 利貴舟久保 昭夫澤入 利夫福井 康裕
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 28 巻 2 号 p. 427-431

詳細
抄録

我々は, 現在まで圧力, せん断速度などの物理的因子と溶血との関係を調べてきた.その結果, 物理的因子が複合的に付加された場合, 溶血に影響を及ぼすことが示唆された. 一方, 高速で壁面に向かう流れがある場合顕著に溶血が生じ, また, 壁面の表面粗さも溶血量に影響することから壁面が溶血に対し何らかの作用を果たしていることが予想された. 今回は壁面に対する高速な流れ (3-7m/s) に対し, 壁面性状と溶血の関連性について検討を行った. 実験では人工臓器材料 (ポリカーボネート) 表面に0.1-1mmの間でシリコーンコーティングを施し, 3-7m/sの高流速をその側面へ噴流させた場合における溶血量とその硬さ (JIS衝撃式硬さ試験) について比較検討を行った. その結果, 特に7m/sの高流速域で表面硬さと溶血量に比例関係があり, 表面の柔軟性と溶血量に関連性があることが示された.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top