1999 年 28 巻 2 号 p. 475-479
簡便・迅速に肝細胞の超高密度充填が可能で, かつ充填効率に優れた新規ポリウレタン膜 (Polyurethane Membrane: PUM) をハイブリッド型人工肝臓のための細胞支持体として開発した. PUMは孔径100μm以下の微小孔からなる多孔質構造中に, 孔径100μm以上の指状構造を持つ巨大孔が散在する構造をとっていた. 空孔率は89.1%であった. このPUM (直径30mm, 厚さ6mm) に対して, 最高5×107 cells/cm3の細胞密度でラット肝細胞を充填することができた (充填効率96%以上). 細胞密度1~3×107cells/cm3では, 自然流下により5分以内に肝細胞の充填を完了できた. 細胞の大部分は微小孔に捕捉されていた. 肝細胞を2.5×107 cells/cm3で充填して灌流培養したところ, 肝機能は7日間持続され, この間の細胞漏出は認められなかった. アルブミン分泌能は7日間の平均で32.5μg/106 cells/dayであった. 培養後も細胞形態はほとんど変化せず, 球形を保っていた.