1999 年 28 巻 2 号 p. 523-527
牛大動脈平滑筋細胞 (SMC) とI型コラーゲンの冷混合液を大小2種類の管状の鋳型に注入し, 37℃でゲル化させ, 内径3mmと6rmmの2種の管状中膜組織体を作製, これらを端側吻合し, 分岐型中膜組織体を作製した. 7~14日の追加培養により吻合部の組織的連続性が得られ, 内皮細胞 (EC) を内腔面に播種した. この分岐型血管壁組織体に (1) 低流量-24時間, (2) 高流量-24時間, (3) 高流量-24時間の3種の異なる履歴を持つ拍動流負荷を行った. 高流量群では高ずり応力領域でECの流れ方向への配向を認めるとともに, 低ずり応力領域の分岐部近位末梢ではECの細胞密度の低下と多角形化を認めた. また高流量群では72時間以内にSMCの伸長と円周方向への配向が見られたが, コラーゲン線維束の配向は認めなかった. エバンスブルー・アルブミン溶液による蛍光染色の共焦点レーザー走査顕微鏡所見では, 局所のECの形態に一致してアルブミン透過性の変化を認めた.