人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
超極細繊維交絡型人工血管の滑脱テスト及び物性テスト
野一色 泰晴山根 義久大越 隆文冨澤 康子殿倉 英次
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 28 巻 2 号 p. 547-550

詳細
抄録

人工血管の基材となる超極細繊維を絡める前の編み物 (Original-UGと略す) を用意し, これに超極細ポリエステル繊維を絡ませた, 新しいタイプの人工血管 (UltrafneGraft, UGと略す) を作成した. まず超極細繊維が人工血管壁から滑脱するのではないかとの危倶から, in vitroで循環モデルを作成して繊維の滑脱負荷試験を行ったが, 滑脱繊維は認められなかった. つぎに作成した人工血管の物性評価を市販品, すなわちMicron (lnterVascular社, MICと略す), Microvel Double Velour Graft (Meadox社, MDと略す), およびBionit (USCI社, Bioと略す) と比較して行った. まず切断端ほつれ試験では各人工血管を斜め方向に切り, その切断端から1mm離れた所に糸をかけ, ほつれるまでの強度を測定した. その結果Original-UG, UG, MD, MIC, Bioではそれぞれ286±52g, 1074±50g, 741±165g, 665±57g, 662±15g (n=6) であり, 破れるまでの変形は5.8±0.4mm, 5.2±0.4mm, 8.7±0.5mm, 9.8±0.2mm, 7.3±0.8mm (n=6) であった. この結果, 新たな方法で作成した人工血管は基材に比べて超極細ポリエステル繊維を絡ませることにより耐ほつれ性, 破断強度も強まっており, さらに市販の人工血管と比較しても物性面では十分に匹敵しうる人工血管であることが判明した.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top