人工臓器
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ヘパリンコーティング人工心肺を用いた体外循環に伴う補体・サイトカインの活性化機序
藤井 弘通
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2000 年 29 巻 5 号 p. 623-629

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抄録

体外循環 (CPB) に伴い補体, サイトカインは活性化されるが, 本研究ではそれらの活性化機序を明らかにするためプロタミン投与時期を変えた2群間で補体・サイトカインの変動を比較した。冠動脈バイパス術施行30例を, プロタミン投与をCPB終了5分後に行うA群 (15例) とCPB終了35分後に行うB群 (15例) とし, C3a, C4a, インターロイキン6および8 (IL-6, IL-8), 腫瘍壊死因子 (TNF-α) を経時的に測定した。全例ヘパリンコーティング回路を用い, 初期ヘパリン量およびプロタミン量はそれぞれ300IU/kg, 3mg/kgとした。その結果, 補体は両群ともにプロタミン投与後上昇した。サイトカインはプロタミン投与で上昇せず, IL-6は大動脈遮断解除前後で上昇したが, IL-8およびTNF-α は上昇しなかった。本研究にて明らかになったのは次の3点である。 (1) プロタミン投与後, 補体の活性化は古典経路を介した。 (2) IL6は大動脈遮断解除の影響を受けた。 (3) IL-8およびTNF-α はプロタミン投与および大動脈遮断解除に影響されなかった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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