砥粒加工学会誌
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サファイア基板のメカニカルポリシングに及ぼす定盤表面性状の影響
—定盤表面性状とスラリーフロー並びに研磨レートの関係—
畝田 道雄福田 有哉伊藤 康昭堀田 和利杉山 博保森永 均石川 憲一
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2014 年 58 巻 5 号 p. 314-320

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抄録

研磨加工において,定盤と工作物の接触界面での専用研磨液の流れ場(スラリーフロー)は研磨レートに影響を及ぼすと推測される.また,メカニカルポリシングにおける研磨レートは使用する軟質金属定盤の材質や表面性状によっても影響を受けることが知られているが,スラリーフローも考慮に入れた体系化が希求されている.すなわち,研磨メカニズムの考察に留まらず,研磨レートの向上方策の検討に加えて,高性能なスラリーの開発に繋げるためには,スラリーフローの定量評価に基づいた検討が必要である.本論文ではデジタル画像相関法を用いて,メカニカルポリシングでのスラリーフローを定量評価することを通じて,フェーシング加工を施した純銅定盤の表面性状がスラリーフローと研磨レートに及ぼす影響を検討した.その結果,メカニカルポリシングにおいて,定盤表面性状はスラリーの定盤濡れ性に影響を及ぼす.スラリーの定盤濡れ性の向上に伴いスラリーの流速は増加する.メカニカルポリシングではスラリーの定盤濡れ性の変化に比較すると,定盤表面性状の変化に伴うスラリー中における砥粒の遊離砥粒あるいは固定砥粒としての作用機構の変化が研磨レートに大きな影響を及ぼすことを明らかにした.

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© 2014 社団法人 砥粒加工学会
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