日本細菌学雑誌
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ブドウ球菌エンテロトキシンEの精製およびエンテロトキシンAとEとの免疫学的交差反応
品川 邦汎国田 信治阪口 玄二
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1977 年 32 巻 6 号 p. 829-836

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抄録

ブドウ球菌食中毒は,本菌が産生するエンテロトキシンをヒトが摂取することによつて起り,その診断は食品,患者材料(吐物,便)から直接エンテロトキシンを証明することが確実な方法である。しかし,エンテロトキシンの検査には精製エンテロトキシンで,ウサギ等の動物を免疫して作製した抗毒素血清が必要である。
現在,エンテロトキシンは免疫学的にA, B, C, DおよびE型の5種類が報告されている。
われわれは,Staphylococcus aureus FRI-326(エンテロトキシンE産生標準菌株)の産生するエンテロトキシンE型をCM-Sephadex, DEAE-Sephadexクロマトグラフィー,Sephadex G-100 (Superfine)のゲル〓過,および再ゲル〓過の4 stepにより精製した。抗毒素血清は,エンテロトキシン20μgでウサギを免疫して作製した。エンテロトキシンE20-120μg/mlは,抗エンテロトキシンA血清に対し,エンテロトキシンAと一部共通の明瞭な沈降線を形成し,20μg/mlでは抗エンテロトキシンA血清の4倍希釈まで沈降線を形成し,かつ抗エンテロトキシンE血清と1本の沈降線で融合を示した。他方,エンテロトキシンA 120μg/mlは抗エンテロトキシンE血清に対し,エンテロトキシンEと一部共通の沈降線を形成したが,20μg/mlでは沈降線の形成は見られなかつた。

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