日本細菌学雑誌
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マウス腹腔内におけるBacillus cereus及びBacillus subtilis芽胞の発芽,outgrowth,と栄養細胞の増殖について
間瀬 南
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1977 年 32 巻 6 号 p. 837-842

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抄録

Bacillus cereusおよびBacillus subtilisの芽胞をマウス腹腔内に接種して,発芽,outgrowth,栄養細胞の分裂・増殖の状態を時間を追つて調べた。
B. cereusの芽胞を約109個マウス腹腔に接種したところ,1時間後にはoutgrowthを完了した栄養細胞も少しみられたが,非発芽のままの芽胞を食菌した食細胞が多くみられた。また細胞外にも非発芽の芽胞が多数みられた。2時間後には,栄養細胞が多数みられ,また分裂中のものもみられた。また栄養細胞を細胞質内にもつた食細胞もみられた。3時間後には,腹腔液中には多数の栄養細胞がみられ,非発芽の芽胞はほとんどみられなくなつた。4時間後には栄養細胞で腹腔は充満し,5時間を経過してまもなく斃死した。
B. subtilisの芽胞も約109個マウス腹腔に接種したところ,1時間後には,多数の非発
芽芽胞を食菌した食細胞が多くみられ,また細胞外にも多数の非発芽芽胞がみられた。発
芽した芽胞は極めて少数であつた。2時間後には,発芽した芽胞が,やや増加したが,
B. cereusの場合に比べ,少数であり,かつoutgrowthを完了したものはみられなかつた。4時間後,ようやくoutgrowthを完了したものが,ごく少数みられた。5時間を経ても栄養細胞が分裂増殖する状態はみられなかつた。
B. cereus芽胞をマウス腹腔内に接種した場合100%マウスを斃す致死量は4.37×108個であつた。B. subtilisの芽胞をB. cereus芽胞の致死量の約18倍量接種したがマウスは斃死しなかつた。

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