試験管内でマクロファージや多形核白血球の食作用を正確に再現するのは容易でないが,Staphylococcus aureus Smith diffuse株のマウス腹腔内接種に対する感染防御能からin vivoでの食菌能を推定する方法を検討した。
この系で各種物質の影響を見た。
1) Cholera toxinおよびdibutyryl cyclic AMPで前処置し,マウス腹腔内cAMP濃度を上昇させると感染防御能が低下し,8 bromo cyclic GMPおよび2'-succinyl cGMPを用いcGMP濃度を上昇させると,感染防御能が上昇した。
2) 悪性腫瘍の免疫療法剤,OK-432をマウス腹腔内に注射するとその後の腹腔内感染に対して強い感染防御能を示し,その作用はzymosanや溶連菌Su株加熱死菌体より強かつた。OK-432の腹腔内感染に対する防御能上昇は静脈注射でも認められた。
3) 合成副腎皮質ホルモンの投与によるブドウ球菌,カンジダに対する感染防御能低下をOK-432の前処置で防止できた。
4) OK-432筋肉内注射で前処置したウサギから得られた腹腔マクロファ-ジや多形核白血球の試験管内におけるブドウ球菌に対する貪食殺菌能は未処置動物から得たものより高かつた。
5) 正常ウサギから採取した腹腔多形核白血球の殺菌力はOK-432のin vitro添加で促進した。このときβ-glucuronidaseの放出量も多かつた。